かくれんぼ

高安義郎


七曲がり

いつの間に迂(まが)ってみれば

見慣れた町屋

なじみの顔が

一つ浮かび

二つ浮かんで三つ消え

我に返れば

「もういいかい」

数え終って

角なし鬼の声がする

 

「もういいよ」

好奇心が鬼になって駆けて来る

近づく小さな足音

細い路地を行ったり来たり

必死な目つきについ声を出す

「ここに居るのはお化けだぞ」

不思議そうに引き返す顔に汗

 

お前には想像さえ出来ない七曲がり

ほんの少し先の路地裏なのに

お爺ちゃんはここに隠れて

見つかりたい気持ちを隠し

お前の来るのを待っている

いつ見つけてくれるのか

 

見つからずとも

せめて

探した思い出よ残ってほしい